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Date:  Sat, 6 May 2006 06:09:42 +0900
From:  no@ann.co.jp
Subject:  [pasml 191221] 追調査結果です。
To:  pasml@ann.co.jp
Message-Id:  <200605052109.k45L9gd31741@ns.pas2.jp>
X-Mail-Count: 191221

お名前   : なかにし あっか 困りごと掲示板から
URL      : 
質問URL: http://pasokoma.jp/?num=345399&ope=v
ツリー: http://pasokoma.jp/cgi/tree.cgi?num=345399
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オーディオ用マイクをパソコンにつなぐと音が出ない件での追調査ができました
のでご報告を。

結論からいうと「現在市販されているパソコンのサウンドデバイスには、マイク入力が
パソコン用として販売されているマイクしか接続できない端子接続仕様のものがあり、
オーディオ用マイクの接続使用が困難なものがある」です。

パソコン用のマイクを分解して結線を調べたところ、内部のエレクトレットコンデンサ
(ECM)マイクユニットと3極ミニプラグの関係が

マイクユニット+ ----- チップ(先端)
             スリーブ1(中央)---チップとプラグ内で短絡
マイクユニット− ----- スリーブ2(根元)

になっていました。本体側からマイクユニットの電源は、チップから3.6Vが
供給されています。

3極ミニプラグのこの使い方、オーディオの世界ではかなりイレギュラーな
結線です。(チップとスリーブの短絡など)
ASUS P5LD2ではNGだったSM-58を、Creative SoundBlaster Live!のマイク
入力につないだところ正常に入力できました。またWindows3.1時代のISAバス
サウンドカードでは、マイク入力端子の設定を「carbon」「condenser」と
(いまどきカーボンもないもんだ)
ジャンパで変えるものも存在していたのが今日確認できまして、「マイク入力
端子の動作を電源供給が必要なECMと、本体からの電源供給が必要でないマイク
(電源用電池内蔵コンデンサマイクやダイナミックマイク)と手動か自動で
切替できるサウンドデバイスでないと、オーディオ用マイクの使用は難しい」
のではという結論に至りました。

録音用のマイクだと、ECMユニットに電源電池・出力用回路を組み合わせて
筒に入れてケーブルなりコネクタを出しますが、チャットやメッセ用の
パソコン用マイクではコストを押さえるためか、ECMユニットだけしか
マイク側には収められておらず、電源供給や直流カットコンデンサ以降の
回路を全部本体サウンドデバイス側で引き受けています。3極ミニプラグの
特別な結線もこれに由来しているようで、オーディオ機器接続を見越して
設計された高級志向のサウンドボードや、親切な設計のサウンドデバイスで
ないと「マイクをつないでも使えない」問題になることがわかりました。

しばらくECMユニットの動かし方なんて見ていなかったのですが、手元の
オーディオ回路集にテツヤさんの書き込んでくださった回路が見つかりました。
ECMユニットって電源1.5Vの回路でも動いたような...と思いきや、動作電圧の
範囲が広いんですね...テスターであたるとき3Vレンジでやって、針が予想以上に
動いてちょっとびっくり。

ポイント他を整理すると

・市販パソコンやマザーボード搭載サウンドでマイクを使う場合は、パソコン
 ショップで販売されているパソコン用マイクのご利用を
・音にこだわっていいマイクを使いたい場合は、音楽クリエーター向けの
 高級サウンドボード(PCI接続)か、USB接続の外部サウンドデバイス
 (EDIROL UA-3やUA-4などにマイク・ギターなどの楽器入力あり)の
 ご利用を
・マイクをオーディオミキサー(EDIROLで4フェーダー程度の小型モデルあり
 楽器店で相談するとYAMAHA・ベリンガーなど安価なモデルがあります)
 経由でパソコンのライン入力に入れる方法も。この場合はサウンドデバイスの
 ノイズに悩まないよう、高級サウンドボードの搭載検討も

・コンデンサマイク(漫才や落語の放送に出てくる四角い灰色のマイク−
 SONY C-38が定番)はマイクユニットに高い電圧をかける必要があり、
 48Vの外部電源(ファンタム電源)か内部の電池ボックスに9Vの006Pを
 用意する必要がある
・一般の録音機器やパソコン用マイクの「エレクトレットコンデンサ
 マイク(ECM)」は、コンデンサマイクほど高い電圧は不要だが、出力回路に
 電源が必要なため単3電池や本体からの電源供給、業務用高級機でファンタム
 48Vを使用
 (コンデンサマイクの原理で、高電圧をかけて電荷を残したコンデンサ素子
  −エレクトレット効果を利用−を採用し、低価格で広い周波数帯域を実現)
・ダイナミックマイク(スピーカーと逆の考え方)は電源不要
 原理的にはコンデンサマイクより感度の高いマイクを作りにくいが、
 (音の振動をとらえる部分を小さく、微弱な音に反応するように作るのが
 難しい)実際には「感度の高いマイクほど扱いが困難」で、「マイクで
 感度を稼ぐより、後の回路で電気的に増幅する方が簡単で都合がいいので
 「感度重視でマイクは設計しない」
 (カラオケ用マイクは扱いも乱暴で、コストもそうかけられず、ハウリング
  防止の観点から不必要に感度を上げていません。感度重視の例外が「笑って
  いいとも」の観客前で音声さんが振っているゼンハイザーのガンマイク
  ですが、話している人の口元がわずかに横に動くと音が入らないので
  常に人が持って振る必要があります)
・マイクに息を吹きかけたり、マイクをたたいたりする習慣は大昔、マイクが
 感度の乏しいカーボンマイク(600型電話機の送話口がそれ)だったころに
 ひろまったもので、今のマイクや音響機器でそれをやるとマイクやアンプを
 破損させることも。ロックバンド若手プレーヤーのしつけに厳しいPAマン曰く
 「それをやったら、お前の頭をどつく」と脅しているとか。正しいマイク
 チェックの仕方は「ひたすら話すか声を出しつづける」「つかれたらマイクの
 頭をつめ先でかく」


しかし、時間かけて調べた今日まで、パソコンのマイク入力には音響屋のマイクが
つながるとばかり思ってました....やられた!

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